朝倉 透

聖書文献学ライター

大学院で古代オリエント史を専攻し、聖書文献学を中心に研究。旧約・新約双方の成立背景や文献学的知見を平易に伝えることをライフワークとしています。

各書解説入門ガイド人物伝

古代オリエント史専攻。学術誌への寄稿を経て一般向け聖書解説に転身。

朝倉 透の記事 (15)

人物伝

洗礼者ヨハネは、新約聖書に登場するユダヤの預言者で、ヨルダン川で悔い改めの洗礼を授け、イエスの到来を告げた先駆者です。十二弟子の使徒ヨハネとは同名の別人であり、まずそこを分けておくと人物像がぐっと見えやすくなります。

人物伝

エリヤは、紀元前9世紀中頃の北王国イスラエルで現れた預言者である。ギレアデのティシュベ出身の彼は、列王記上17章でアハブ王の前に突如姿を現し、「ヤハウェは我が神」を意味する名そのものを掲げて、バアル信仰に対抗した。

各書解説

ルツ記は、士師たちが治めていたころのベツレヘムとモアブを舞台にした、全4章85節の短い旧約聖書の物語です。士師記の暴力的な結末の直後に読むと、同じ時代を扱いながら世界の温度ががらりと変わることに驚かされますが、その落差こそがこの書の狙いでもあります。

各書解説

エゼキエル書は、全48章からなる旧約聖書の預言書で、イザヤ書・エレミヤ書と並ぶ三大預言書の一つです。前597年のバビロン捕囚でケバル川のほとりに移された祭司エゼキエルが、前593年に召命を受けて語り始めたこの書は、難解に見えて、実は裁き・諸国・回復の3部構成がきわめて整っています。

各書解説

『エステル記』は、バビロン捕囚後のペルシャ帝国の首都スサを舞台にした旧約聖書の一書であり、全10章・167節の短い物語の中で、ユダヤ人女性エステルが王妃となって民族抹殺の計画を覆す書です。

人物伝

サウルは、イスラエルで最初に立った王として約40年の治世を担いながら、神への不従順とダビデへの嫉妬によって悲劇へ沈んだ人物である。ベニヤミン族の見栄えのする青年として選ばれ、アモン人との戦いで王権を固めた栄光から、ペリシテ戦での独断やアマレク戦での背反へと転じていく流れをたどると、

人物伝

マグダラのマリアは、ガリラヤ湖西岸の町ミグダルにちなむ名を持つ、新約聖書屈指の女性の弟子です。美術展でティツィアーノの『悔悛するマグダラのマリア』を前にすると、多くの来場者が半裸の官能的な聖女像に戸惑いますが、その違和感こそ後世のイメージと福音書本文のあいだにあるズレを示しています。

人物伝

イスカリオテのユダは、イエスの12使徒の一人でありながら金入れを任され、銀貨30枚でイエスを引き渡した人物として知られています。名前の由来はケリヨトの人とする説が有力で、ガリラヤ出身の弟子たちのなかで異質な背景を持っていた点も見逃せません。

各書解説

雅歌は、旧約聖書のなかでもひときわ異色の書で、ヘブライ語原題『シール・ハシーリーム』が示すように「歌の中の歌」、つまり最も優れた歌を意味する短い詩集です。全8章・117節の中で、花嫁と花婿が自然や香料の比喩を交えながら互いの美しさと憧れを率直に歌い交わし、しかも神への祈りも教えもほとんど出てきません。

人物伝

サムソンは、旧約聖書の『士師記』13〜16章に登場する、約20年間イスラエルを裁いた怪力の士師です。『髪を切られると力を失った男』として知られますが、その力は髪そのものに宿ったのではなく、生まれる前から神に献げられたナジル人としての誓約に支えられていたと伝えられています。

各書解説

ヨナ書は、旧約聖書の十二小預言書の5番目に置かれた全4章の短い書物であり、敵国アッシリアの首都ニネベをめぐる物語として読まれます。大魚に飲まれる場面でよく知られますが、中心にあるのは奇跡譚ではなく、異邦人の都にも向けられる神の憐れみです。

人物伝

『ヨナ書』は、旧約聖書の十二小預言書の一つに置かれた全4章の短い書で、預言者ヨナをめぐる物語として読まれる。大魚に飲まれる場面だけが名高いものの、中心にあるのは魚そのものではなく、神と人間のあいだで起こる呼びかけと応答です。

各書解説

ソドムとゴモラは、『創世記』18〜19章に登場する、死海周辺の平野にあったとされる都市であり、旧約聖書の中でも「退廃の町」の代名詞として知られています。西洋美術館でロト一家の脱出やソドム炎上を描いた絵画に出会っても、元の物語を知らなければ場面の意味がつかみにくいでしょう。

各書解説

イエスの奇跡とは、新約聖書の四福音書に散らばって記録された約37の出来事であり、治癒・自然・蘇生・悪霊追放の4タイプに整理すると全体像が見えやすくなります。福音書ごとの記録数も、マタイ約19、ルカ約20、ヨハネ8と差があり、初めて通読したときに場面が飛び石のように現れて戸惑った経験からも、

各書解説

イエスのたとえ話は、新約聖書の福音書に約30〜40話記録された短い物語群で、マタイ・マルコ・ルカの共観福音書に多く集まり、ヨハネ福音書にはほとんど見られません。種まきや羊飼い、農夫と主人といった1世紀パレスチナの日常を借りて神の国を語るため、断片的に覚えているだけの話も、